銀河鉄道の夜/宮沢賢治・作

壮大なスケールで描かれた、宮沢賢治の代表作。大人や専門家が読んでも未だ読み解けない独特の奥ゆきを秘めた作品です。

賢治独特の言い回しや仮名遣いも然り。さながら銀河に散りばめられた星々のように、作品のそこかしこに『言の葉』が散りばめられています。随所に賢治ならではの高い感性が伺える作品です。

賢治の崇高なまでの感性の反映ぶりを確かめるには十分な作品と言えるでしょう。幻想と夢の間を絶えず行き来するかのような銀河の世界で響き渡る、生と死の意味。この夏、透明感のある哀しくも美しい物語にこころを浸してみてはいかがでしょうか。きっと心の涼や打ち水になるはずです。

また、銀河鉄道の夜は実にさまざまな挿絵や本のスタイル(文庫版、ハードカバー版など)にもあふれた作品です。同じ作者の作品でも挿絵や本の質感が違うと、イメージや伝わってくる感じもまた変わってくるものですね。さまざまな形で展開されるストーリーの”ふしぎ”部分に触れてみてください。

子牛のハナベエ日記/金田喜兵衛・文 佐野真隆・絵

子どものころだからこその夏休みの時の流れ方とともに、夏~!!という感じが伝わってくる作品です。ストーリーの中の「ぼく」のような子どものころの夏休みというものは、それだけで魔法にかかったような特別な時間の流れ方があったはず。そんな時の流れ方や、読者に寄り添うような温もりあるタッチで描かれた佐野真隆氏のイラストもとても素敵な一冊です。

そこには、小さないのちといのちのふれ合い・・・子どもと生きものとの出逢い、そして別れという、生きていく上で避けられないドラマが展開されています。ひと昔前、第39回読書感想文全国コンクールの課題図書として指定されていただけの意味ある一冊でもあります。

ストーリーを読み進めながら、そして読み終えたとき、ハナベエの首に下げた小さなカウベルが夏空に響いたように、カラン、と何かこころに響くものがあるのではないでしょうか。「ぼく」といっしょに夏休みを過ごしてみてください。

となりのトトロ/久保つぎこ・文

最後におススメするのは、ご存じのとなりのトトロ文庫小説版です。トトロもまた、子どものころの夏休みを見事に描いています。夏のジブリ映画の代名詞的存在のトトロですが、小説版は小説版でまた違った味わいと読みごたえがあるものです。

サツキとメイが東京のおばさんの家に行ったり、カン太がその間草壁一家のお庭の手入れをしてくれていたり、よそ行きのシャレた格好をしたサツキを見たカン太が自分の格好を恥ずかしく思い、少しでも清潔にしようと試みたり、トトロが傘を返却してくれたり・・・

あまり公開してしまうとまだ小説版を知らない方々にネタバレになってしまうのでこのへんにしておきましょう。そんな具合に、アニメーション映画の中だけでは分からない人物の心の動きやストーリー展開も細やかに描かれ、小説版ではちょっと違っていておもしろいですよ。

併せて読みたいイチオシの一冊!もののけ通信/山岡有子・編

トトロ側の気持ちが描かれている、もののけ通信にも注目です。小説版との併読で、作品にいっそう奥ゆきが出ることでしょう。


お化けつながりでストーリーの最後に書かれた、水木しげる氏の作品考察「となりの霊々(かみがみ)」にも注目!いかにも水木氏らしい考察タイトルとまとめで締めくくられているところもまたよしな作品です。

まとめ

大人になった今にして再読してみると、子どものころとはまた違ったおもしろい発見があり新鮮味を覚えることでしょう。童心に帰る気持ちで読み進めながら、当初の気持ちやこころの中に残るもの響き方の違いを照らし合わせてみるのもおもしろいものです。

本を読んで泣いたり感動したりと、こころを動かせることは人としてとてもゆたかなことです。これらの三冊にかぎらず、「いいな」と思った一冊こそあなたのナツイチになるはず。あなたのひと夏の一冊をこころの夏休みに携え、たくさんこころを動かしてみてください。

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